「ヨーガ」の正しい理解の為にヨーガとは何か?~「ヨーガ」の正しい理解の為に~藤田鳳子先生(只今製作中) ○ヨーガの定義 ヨーガは?というと、アクロバティックな姿勢や体操、あるいは「いつまでも若く美しく」のキャチフレーズを想像したり、あるいは「超能力」を連想されるかもしれません。 それらはどれもヨーガの一部分であって、ヨーガ全体の姿ではありません。 ヨーガの本当の姿は「教条を持たぬ宗教」であります。 「精神生活の規範となる道」といっても良いかと思います。 インド人はこれを科学であると申しております。 その理由は私の話が終わる頃にはご理解頂けるかと存じます。 ヨーガは日常の心がけや体操や心理的な訓練などを用いて、最後には解脱を目的としています。 つまりヨーガは、解脱の為の、心の訓練、行法なのです。 ○ヨーガの生い立ち ヨーガの起源は紀元前2500年位前まで遡れます。 現在はパキスタン領になっているインダス河流域のハラッパやモエンジョダロなどのインダス文明の遺跡から、ヨーガの坐像を浮彫にしたシール(印形)が出土しております。 ヨーガの語源は“YUJ”で、サンスクリット語で「馬を車につなぐ」という意味を持っています。 これから転じて、外界に影響されて絶えず変化する心を制御する心の心理操作のテクニックを意味するようになったのです。 このテクニックは、古の聖賢者が、山中での深い瞑想によって得た智慧の成果なのであります。 これらのヨーガ行者たちは、今日の科学者一般の及びもつかない鋭くて明哲な内観能力を持っていて、 その内省の鋭いメスで、自己の内部を観察し分析した結果、ついに人間存在の実体から宇宙の真理までをも、洞察することができたのです。 次にそういう経験を再生産する目的で彼らの経験の全プロセスが考察されました。 この心理学的考察に基づいて出来上がったのが、ヨーガと言われる一連の技法であって、 紀元4世紀の頃には、現代ヨーガに近い形に体系ずけられております。 これが後程申し上げますが、古典ヨーガの八部門の体系であります。 ヨーガは、成り立ちからして心理的なもの、それももっぱら個人の内省に基礎を置く、という性格をもっているのです。 ちなみに、聖賢の経験と技法の方面は、ヨーガとなりましたが、理論、思想の方面はサーンキャ(教論)という哲学体系となりました。 非常に古い時代のウパニシャッド教典(ヨーガの教典)には、ヨーガを行ずる時の心理操作の体験の進行を 感覚器官 - 思考器官 - 理性(直感器官) - 超自我 - 忘我 - 真我 という風に分析しています。 すなわち、知覚作用から初めて、順々に心理の動きを操作していき、ついにあらゆる心理の動きをなくしてしまう。 -この状態を忘我とか寂静とかいっています。 その時突然思いがけなく ― 自分の所為、はからいによってではなく ― 自分の本当の姿、即ち真我が顕れる(超意識的に)。 この一連の体験の最後の境地を三昧と申し、これがヨーガのゴールになっております。 この体験により、その人の中に眠っているあらゆる能力が開顕して ― 全人間性が目覚めて ― 人が変わったようになり、真の自由を得る、これが解脱であるという理由なのです。 ○ヨーガに於ける「人間構造」 ○ヨーガの行法体系 ○ヨーガの流派 ○ヨーガの理論 ・プラーナについて ・「心」について ・ナーディ及びチャクラ ○ヨーガの行法 ・ヤマ・ニヤマ・アーサナ・プラーナーヤーマ ・プラティヤハーラ・ダーラナ ・「認証」及び「覚智」について ・ディヤーナ及びサマーディ・クンダリニーについて |